「クククク、どうやら術が完成したようだ。どうやらこの勝負、私の勝利のようだ! さらばだレイシャ!」
リッチー=アガンドラは不敵な笑みを浮かべ高笑いをしている。
「いでよ絶対零度の支配者にして、氷の女王よ! そなたの力を持ってして我が敵を氷塊と化せ!」
リッチー=アガンドラの額のサークレットから力ある言葉が放たれ、私の目の前に全身氷のマナで覆われた『氷の女王』が顕現する!
見た目は透き通った華麗な氷の貴婦人……。
だが、それはまごうことなき死の代弁者。
その氷の女王は残酷なまでの冷笑を浮かべ、私に向かって静々と歩き静かに『死の息吹』を吹きかけたのだ……。
(さ、寒い! いや、そんな感覚すらも生ぬるいこの冷たさ……)
私は遠くなっていく意識の中で、咄嗟に例のメモ紙を懐から取り出し静かに握りしめる!
「……ふふ、ふふははは! レイシャよ! 流石に絶対零度の死の息吹の前ではなすすべなしであろう!」
リッチー=アガンドラの嘲笑が響き渡る中、パキリ……と何かが壊れる生々しい音が私には聞こえた気がした。
「……ははは、は、はあっ?」
リッチー=アガンドラの嘲笑はピタリと止み、今度は目を大きく見開き驚いている模様。
そう、奴が驚くのも無理もない。
私は肌の表皮が少し凍っただけで、ほほ無傷の状態で何事も無いように立っていたからだ。
「ば、ばかな? 何故、何故我の最高の氷魔法を食らってお前は無事でいられるんだ? 貴様っ!」
「……それはこれのおかげ」私は手に持っていたメモ紙を開き、奴にそれを見せる。
「女神の姿を形どった銀の指輪っ! しかも虹色の魔石が埋まっているだとっ! ま、まさかそれは……?」
「そのまさか、超希少アイテム『身代わりの女神の指輪』よ……「クククク、どうやら術が完成したようだ。どうやらこの勝負、私の勝利のようだ! さらばだレイシャ!」 リッチー=アガンドラは不敵な笑みを浮かべ高笑いをしている。「いでよ絶対零度の支配者にして、氷の女王よ! そなたの力を持ってして我が敵を氷塊と化せ!」 リッチー=アガンドラの額のサークレットから力ある言葉が放たれ、私の目の前に全身氷のマナで覆われた『氷の女王』が顕現する! 見た目は透き通った華麗な氷の貴婦人……。 だが、それはまごうことなき死の代弁者。 その氷の女王は残酷なまでの冷笑を浮かべ、私に向かって静々と歩き静かに『死の息吹』を吹きかけたのだ……。(さ、寒い! いや、そんな感覚すらも生ぬるいこの冷たさ……) 私は遠くなっていく意識の中で、咄嗟に例のメモ紙を懐から取り出し静かに握りしめる!「……ふふ、ふふははは! レイシャよ! 流石に絶対零度の死の息吹の前ではなすすべなしであろう!」 リッチー=アガンドラの嘲笑が響き渡る中、パキリ……と何かが壊れる生々しい音が私には聞こえた気がした。「……ははは、は、はあっ?」 リッチー=アガンドラの嘲笑はピタリと止み、今度は目を大きく見開き驚いている模様。 そう、奴が驚くのも無理もない。 私は肌の表皮が少し凍っただけで、ほほ無傷の状態で何事も無いように立っていたからだ。「ば、ばかな? 何故、何故我の最高の氷魔法を食らってお前は無事でいられるんだ? 貴様っ!」「……それはこれのおかげ」 私は手に持っていたメモ紙を開き、奴にそれを見せる。「女神の姿を形どった銀の指輪っ! しかも虹色の魔石が埋まっているだとっ! ま、まさかそれは……?」「そのまさか、超希少アイテム『身代わりの女神の指輪』よ……
「ふふ、これで良しと……」 よく見ると額に青い魔石のサークレットを身に着けている。 リッチー=アガンドラは無駄を嫌う冷静な軍師タイプ。 だからこの行動にも絶対に意味はあるはず!『長ッ、ちょっとあれは何?』『まずいな……。あれはリッチー=アガンドラの隠し玉の1つ、「零口のサークレット」だ』『ええっ! ど、どんなアイテムなの?』『結論から言うと、呪文を2つ同時詠唱出来るようになる壊れアイテムだ。詳しく説明すると、もう1つの意思を持ったリッチー=アガンドラの口が出来たわけだ』 『ええっ! で、でもそんな神アイテムがあるなら何故はやく使わなかったんだろう?』『あれは希少な消耗アイテムで、奴のお気に入りのコレクションなのだ。あれを使わせたという事はレイシャが奴を追い詰めている証拠さ』『なるほど、ポジティブ思考でいくとそうなるわね! じゃ、そうとわかればトドメを差しにいかないとね!』 私は再び呪文を詠唱していくリッチー=アガンドラに向かって、容赦ない斬撃を繰り出す! ……なるほど、リッチー=アガンドラの周囲を覆う水色に光る魔法防御壁が次第に薄くなってきている!「もう貴方の魔力も尽き欠けているわ! 観念しなさい! リッチー=アガンドラっ!」「く、ぐうっ! 魔法の完成はまだかっ!」 声からもリッチー=アガンドラが狼狽えているのが分る。(そっか、オートで自立して魔法を唱えるアイテムだからリッチー=アガンドラ自体もいつ何の魔法が完成するかわかんないんだ! それに本体は魔法防御で手いっぱいなのかも) となれば、今が絶好の機会っ!「も、燃えよ! レッドニードルっ!」 私はふらつきながらも気合を入れ高らかに叫び、力強くレッドニードルを握りリッチー=アガンドラに斬りかかっていく!(……よくよく考えると、このレッドニードルって不思議よね。そしてこの刀身に宿る炎のエネルギーって、
『……すまないが話す時間がもう無い。リッチー=アガンドラの詠唱がもうすぐ終わってしまう』 『分った、開幕全開でいくわ……』 私の故郷の両親や、このペンダントやレッドニードルの事など聞きたい事は山ほどある。(今考えるのは、目の前のにっくき敵であるリッチー=アガンドラをこの手で倒す事っ!) ただの因縁だけじゃない、リッチー=アガンドラを倒さないといけない理由が私には沢山出来てしまったしね。「私の血を吸いなさい! レッドニードル!」 私の言葉に反応し、胸元のペンダントは眩い真紅の輝きを放つ! 手に持っていたレッドニードルの柄の部分からは、まるでバラのツタのようなものが発生しそれらは蠢きながら私の腕に巻き付いていく!「……っ!」 この痛みには、正直慣れそうもない。 それらは私の腕に巻き付き、徐々に血を吸っていく。 その間もリッチー=アガンドラの様子を見てるが、淡々と詠唱を続けている様子……。 一方、レッドニードルの血を吸う行動が先に終わりのがいつもの自身の感覚で分かる。 よし! 条件は成った! 私はリッチー=アガンドラを睨み、叫ぶ!「真紅の炎よ! 私の敵を全て焼き尽くせ!」 私の声に応え、レッドニードルの刀身から放たれしは複数の紅蓮の炎! それはまるで真紅の大蛇の如く牙を向き、リッチー=アガンドラに襲い掛かる!「我が声に応えし凍てつく氷剣らよ! 我が牙となり我が敵を切り刻め!」 が、ほぼ同時にリッチー=アガンドラの魔法も発動し、その命に応じ奴の周囲に巨大な無数の氷剣が浮かび上がり、それらは私めがけて襲い掛かって来る!(……っ! タイミングが悪かったわね。しかも、なんなの? この寒々とした重苦しい氷の剣はっ!)『レイシャっ! リッチー=アガンドラの十八番「絶対零度の剣」だ! 気をつけろ!』 「分かったけど、もうなるようにしかならないわ!」 結果としては、私の操る「紅蓮の炎牙」とリッチー=アガンドラの氷魔法「絶対零度の
正直リッチはバンパイヤ同様、不死身と聞くし、生半可な攻撃は意味をなさないであろう。 しかも今はブラッド青年の体を乗っ取っている状態。 ブラッド青年の体を傷つけずに追っ払う方法なんて魔法に疎い私には思いつかないのだ。「ふ、ではいくぞ!」 リッチー=アガンドラは私から距離を取り離れ、自慢の高速詠唱を始める。 が、ここまでは私の予想通り。 というのもこちらには何も攻撃が無いこの時間を有効活用するしかないのだ。『長っ! で、どうするの?』 てなわけで小声で長と会話し、手っ取り早く知恵を借りることにした。 餅は餅屋、魔導は魔導に詳しい相手を、不死者には不死者をってことです、はい……。『まずは情報を教えよう。リッチー=アガンドラは常に魔法防御の壁を張っていてな。多少の攻撃じゃイハールの体には傷1つつかない』『なるほど、早い話、まずは「魔法防御に回している魔力を削れ」と』『そうだ。そして来たるべき段階が来たら、レイシャの体を一時的に私が借り、リッチー=アガンドラの魂をイハールの体から追い出す』(なるほど、段階事に私と長で分業をし、リッチー=アガンドラを倒すという事ね……) 『分ったわ……。で、どうやって?』『攻撃は最大の防御だ。開幕からレイシャの出来る全開をだせ!』『承知っ!』 私は1人静かに頷く。『すまんなレイシャ、お前達を巻き込んでしまって……』『え? あ、まあ私も№2としてのケジメがあるしね。そんなことより、今はこいつを倒すことに集中して頂戴……』『すまんな、でこのタイミングで申し訳ないのだが実はずっと話そびれていたことがあってな』『え? 今そんな話している場合じゃないでしょ? 戦闘中よ長っ?』『この戦闘に関係する話なのだよ……』『そう、手早くね&hellip
月明かりが照らす洒落た小部屋、私はその中央にいる者に目を向ける。 それは作業椅子に脚を組み静かに座すブラッド青年をであった。「ほう? お前1人か? ふふははは! なにはともあれ久しぶりだなレイシャ……」 声とその姿は確かにブラッド青年そのもの……。 だが、高慢な態度と話し方で私には明らかに別人だと理解出来た。(なるほど、牢の中にいたあの老人の姿。何処かで見たことあると思ったらそんなカラクリだったってわけね……) 「そうね百年ぶりかしら? 見ない間に随分と若返ったものね? リッチー=アガンドラ……」 私は皮肉たっぷりの言葉をブラッド青年の姿をしたリッチー=アガンドラに向けて放つ。「ふ、相変わらず小癪な奴だ。そんなちんけな精神攻撃なぞ我には効かんぞ?」「でしょうね。他人の肉体を平気で乗っ取れる寄生虫ですし、人ですらないものね?」 そう、これは老人の姿、いやリッチー=アガンドラとすり替わったブラッド青年がメモにより教えてくれた情報……。 恐ろしい事に、何らかの方法でブラッド青年の肉体を乗っ取り、自身の肉体にブラッド青年の魂とすり替えてしまったらしいのだ。 最も魔導に詳しいクロウだけは最初から察していたらしいけどね……。「世の中結果が全て……。ふふ、長が長年かけて研究していた人化の方法、それを少し我が改良し使わせてもらっただけだ……」 リランダの地下倉庫にあった本棚には色んな人に対する研究書があった。 だからブラッド青年の経営するリランダの地下倉庫に繋がっていた旧王家の牢屋に隠れ家をつくったと。 流石リッチー=アガンドラ。 リッチだけあって相変わらず腐った根性丸出しである。「なるほど、リランダの地下倉庫にあった書物を貴方が読んでたってわけね…&helli
私達は月明かりがうっすらと照らす回廊を無言で走っていた。 理由は余計な事は考えたくなかったから……。 周囲を注意深く見回しながら進んではいるが、幸い私達に向かって襲ってくる刺客はもういないみたいだ。 おそらくは竜人ドラグネオンが最後にして最強の防衛線ということだろう。 それもそのはず、竜人ドラグネオンはエターナルアザー内では長を除いた最強の剣の使い手なのだから。(長が言葉を発しないのは、きっと竜人ドラグネオンに申し訳ない気持ちがあるからだろうけどね……) だからか、あっという間に目的地のブラッド青年の個室前に辿り着く。(よし、あとは……)「……相手はあの竜人ドラグネオン、雷神剣の使い手ですが小次狼さんは大丈夫ですかね?」 不安になっているからだろうか? クロウは沈黙を破るようにボソリと呟く。 クロウが心配するのも無理もない。 雷竜の化身でもある竜人ドラグネオンは雷をまるで自分の手足のように自由自在に使いこなし、それを自身の剣に纏わせる事が出来る。 自慢じゃないが私も剣の腕だけなら彼に勝てる自信は全くないしね。「そうね。でも、小次狼さんも負けず劣らずの猛者……、その理由はね」 「え……ええっ!」 私の話を聞き、その内容に驚いたクロウの大声が深夜の回廊に静かに響き渡るのだ……。 ♢ 一方こちらは小次狼と竜人ドラグネオン。「ほう、お主も雷竜じゃったか……」 「なにっ? 小次狼といったか、お、お主のその眼ま、まさか……?」「そう、儂と貴殿はおそらく遠い親戚……。儂の血にも竜人の血が少しばかり流れておるでの……」 小次狼は